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あぁ、おばあちゃん、いい匂いがする。なんか、あったかい、甘い、優しい匂い。
「あんたは優しい子だねぇ。あの子たちに傘、貸してあげるなんて。お姉ちゃんが気にやまないように、嘘、ついたんでしょ?」
わたしをずっと見ていたのだろうか?でも、近くにいたことに全然気がつかなかった。ハンカチで拭かれながら、思い返す。
おばあちゃんが、わたしの手を握ってにっこり笑った。
「濡れて帰ってもいいかなぁって、ちょっと思っただけです。それに無視、できなかったし。えへへ」
「うん、うん」
おばあちゃんは、わたしの手の甲を優しく叩いた。なんだか急にこみ上げてきて、泣き出してしまいそうになった。慌てて笑ってごまかす。
「大丈夫だよ。あんたは大丈夫」
泣くのを我慢した変な顔でおばあちゃんを見て、頷いた。
「よしよし。大丈夫。もうすぐ、雨も止むから。あんたが心配していることだって、すぐによくなるよ。ふふふっ。」
「うん。でも、なんでわかるの?そんなに負のオーラ出してた?わたし」
「はははっ、ちょっとね。でも、それが理由じゃないよ。おばあちゃんにはわかるだよ。あんたのことはなんでも。だから、今日一日どうだったかも、なんでそんなに憔悴しているのかも。それでも、頑張ってるなぁとかもね。ゆりちゃん」
びっくりして、おばあちゃんを見つめる。
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