4.村神様の御葬式

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4.村神様の御葬式

「神に祈りを」  神官がお辞儀をすると、皆が揃ってお辞儀する。  祈りの儀が終わった後は、神官の御言の儀が始まる。 「この場所は村神様によって守られており…」  まあ、ほとんど神官のお喋りみたいなものだけど。  35分にもわたる神官の話が終わる。  やっと終わったのね、と帰ろうとすると 「嬢ちゃん、まだ終わってないよ」  さっきの乱○パーティーのおじさんの一人が声をかけてくる。 「知らないのも無理はないさ、さっき話を盗み聞きしたんだが、この村に来て間もないらしい」 「じゃあ魔女がいることも知らないのかい?そりゃ可哀想だね」 「それだったら知らないのも無理はないね。とにかく座りな」  おじさんに促されるように、地面に座る。 「今日は王子がいるからまだ暫く帰れないんだよ」 「なぜ?」 「なんだって今日はあの王子の誕生日らしいんだ、18歳のな」 「村神様の儀と同じ日に成人の儀をするなんて…ぜってぇ何かあるね。」 「………」  ほんと、人間は噂が好きね。 「皆の衆、今日は僕の為に集まってくれてありがとう」 「お前の為じゃねぇ、村神様のためでぃ」  近くにいたおじさんが小声でボソッと話す。  すると、 「なにか言ったか?そこの薄汚い愚民よ」 「べべっ別に何も?」 「そうか、ならいいんだ。それにしても、この村の者は発言力まで無いんだな」 「なんだとぅ!?」 「お前の為じゃねぇ、村神様のためでぃ。そう言ったよね。」 「…………………っ」 「自分の発言には責任を持とう」 「偉そうに………」 「偉そうに?僕は王子。君は愚民。どう考えても君より偉い立ち位置にいるよ?」 「…………っ地獄耳め」 「ああ、地獄耳だ。だからどんなに小声で言おうとも聞こえているよ」 「………っ!あんだと…」 「さて、戯言もほどほどにしようか。ルシー、彼を連れて行ってくれ。エル、程々に頼むよ」 「かしこまりました」  高身長のエルと、騎士団の格好をしたルシーは早々に、おじさんを連れて行ってしまった。  おじさんは終始ビビり散らしていたが、最終的に項垂れて、暗い顔をして連れて行かれた。  村人が静かになったところで、王子はニコッと笑い続きを話しだした。  話の内容というのも実に簡潔で、驚くほど早く解散された。  解散後、乱○パーティーのおじさんはこう話した。 「あいつは自分を神だとでも思ってんのか?王子だからってやっぱりあんなの許されねぇ。嬢ちゃん、俺らが言えたことではねぇが、あの男とは関わらん方がいい」
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