七海と人形の願い

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「どこにいったか探してたんだよー」 箱からそっと取り出したモノを私は抱きしめた。黒い長髪に、赤色の着物。そしてつぶらな黒い瞳。間違いない。私が中学生の頃に大切にしていた日本人形だ。 日本人形といっても、ちゃんとしたものではない。誰でも気軽に持つことを目的に作られた、どちらかというとぬいぐるみに近い人形。当時、友達に仲間外れにされて学校を休んでいた時に手に入れたモノだ。 「七海、そんな人形持ってたの?」 「そんな人形なんて言わないで。私にとっては子供の頃の友達で大切なモノなの!」 「はいはい」 テレビを見ながら生返事をするお母さんを睨みつつ、もう1度人形をよく見てみた。10年経っているのに色褪せていない人形はとても可愛い。なんだか笑っているみたい。私も同じ気持ちでニコニコ笑ってしまう。 「んー…あ、思い出した!」 「何を?」 「七海のその人形さ、中学の時持ってたやつでしょ?」 「うん。そうだけど…」 「それね、ちょうどその頃、七海がお風呂に入っている時にここに置いてあってね、それを見た拓海が泣きだしたの」 「なにそれー」
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