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ーピーポーピーポー。
どこかでサイレンの音がする。近くで止まったのかな…。それにしても体中が痛い…。
「七海、起きて!!」
「へ?」
お母さんに揺さぶられて私の意識は浮上した。目の前にはローテーブルとテレビがある。テーブルの上には人形。どうやら私はリビングでそのまま寝ていたらしい。壁時計を確認すると深夜2時を回ったところだった。
「七海、大変なの。近所の笹原さんの家の娘さんが車にひかれて大怪我だって」
「え?笹原さんが?」
近所の笹原さんは、中学生時代の私の友達。
…だった人。私のことを仲間外れにした張本人で、許すことができなかった人。
お母さんから地元で就職したとは聞いていたけど、事故にあったなんて。
「そうなの。笹原さんちのお母さんによると、夜中に急に大きな音が部屋からしたと思ったら、娘さんが飛び出してきたんですって。そのまま、お母さんの制止を聞かずに家を飛び出して、それで…。目の前で車にひかれてしまったんですって」
「そんな…」
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