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「救急車がくるのを待つ間、うわごとのように「人形が…」って言ってたらしいの」
そこまで話すと、お母さんはチラリとローテーブルの上の人形に視線を向ける。
「ちょっと。笹原さんが言っていたからってこの人形は関係ないでしょう」
「そうね…ちょうど人形があったからつい…」
「もう…」
私は人形を手に取るとそっと抱きしめた。笹原さんが言っていたことと、この可愛い人形を一緒にするなんて。そう思いながらお母さんを軽く睨むと、気まずそうに視線をそらした。
「お母さんはもう寝るわ。起こしてごめんなさい。七海も部屋に戻って寝るのよ」
お母さんはそう言うと自室に戻っていった。
「部屋に戻るのめんどくさーい」
私はまたローテーブルに伏せると、やってきた睡魔に体を任せた。
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