七海と人形の願い

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「七海―、テレビばっかり見てないの。久しぶりに帰ってきたんだから、そこの段ボールの中身を確認して、いらないのは捨てちゃって」 「はーい」 お盆休みで久しぶりに帰ってきた実家で暇を持て余していれば、お母さんに段ボールを渡されてしまった。一抱えあるその段ボールの中には子供の頃の懐かしい物がたくさん詰まっていた。 「お母さんこれどうしたの?」 「せっかくの連休だから押入れの中を整理していたの。七海も仕事が休みで帰ってくるならついでにいらない物を見てもらおうと思って」 「ふーん。あ、そういえば拓海は?お盆には帰ってこないの?」 「あの子は夏休みも大学のサークルやら何やらで忙しいから帰らないって」 「そうなんだ」 5つ下の弟は大学2年生。きっと一番学生生活が楽しい時だろう。私にもそんな時があったなと思うと懐かしく思う。お母さんとテレビを見ながらダンボールの中を確認していると、懐かしい物がたくさんでてきた。 「うわー懐かしい。これ小学校の時に流行っていたプロフィール帳!こっちはこうかんノート!これは…メモ用紙で交換していた手紙!何書いてたかなー…あ…」 「どうしたの?」 「な、なんでもない!」
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