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美しく”High tea”を
美しく凛とした空気を纏う黒髪の女性と物腰の柔らかいこれまた美しい男性。30mも離れてみればそこは映画のワンシーンのような優雅さだ。
ーーーーーーが、実際はこの二人、軽く冷戦状態である。
というのも、遡ることわずか数分。星歌が部屋から出てからというものこの二人は一言も、ただの一言も発さないままお茶をすすっている。こんな時、先に口を開いた方が不利になることは二人とも身に染みているはずだ。
「で?」
紅茶の香りとわずかな笑みを含みながら、先に声を上げたのは花だった。
しかし葉は軽く肩をすくめるだけで言葉を発しようとしない。
「あの子ことでしょう?全く白々しい。それとも彼女への情報漏洩の件かな?」
「それは今に始まったことではあるまい。」
「言っておくけど僕、あの書類、ちゃんとサインしてないからね。」
「そんなのは見ればわかる。君がそんなミスをするわけがない。下手をすれば星歌が話しかけてくるところも予想済みだったんだろう。」
「まーねー。で?要件は?」
「本気か?いくらヤツに押し付けられたからって君が他人と、しかもただの高校生と一緒に生活するなんてこと出来るのか?」
「さあね。なるようになるさ。」
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