命の架け橋

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 ― 五年後 ―  閑静な住宅地の一軒家、手入れされた広い芝生の上を小さな男の子と子犬が駆け巡る。 「おいで! ジョン」  男の子の傍で尻尾を振りながら子犬はいつまでもそばに寄り添う。 「あなた良かったわね。犬を飼ってからあの子あんな笑顔に――」  身体の弱い息子は同世代の子供達と遊ぶには体力的に時間をかける必要があった。まだその事を理解できない周囲の子供たちは息子の事を『のろまな亀』だとののしり、僅か五歳の環境で心無いイジメを受けていた。  そんな折、両親は我が家に犬を迎え入れる。 「五年前に死んだおじいちゃんの遺言。まだ赤ちゃんの頃のあの子を見つめ、最後に微笑みながら言ったの、『犬を飼え』って……」 「えっ、あれは『ありがとう』っていったんだろっ?」 「ううんっ、違うよぉ、私にはちゃんとそう聞こえたの」 「まぁ、どっちでもいいけど、あの子にあんなに懐くなんて凄いな。何処に行くにも一緒だしいつも見守ってくれるから安心だ。昨日も躓き転んだ時、大声で吠えて知らせてくれた、まるで人の心が分かるみたいだな」 「今度、おじいちゃんのお墓参り行きましょうよ、ジョンも一緒に――」  若い夫婦は、我が子と愛犬の遊ぶ姿を幸せそうに見つめていた。
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