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………
…
コポポ…
ポットからコーヒーを淹れる。午前7時。
土曜日だと言うのにいつも通り目が覚めた。
コーヒーの香りが部屋に広がる。
「…そろそろ迎えに行かなくちゃ」
2つのカップにコーヒーを注ぐ。
ミルクと砂糖を入れたものとブラック。
「っとと…」
零さないようにテーブルに置き、
僕はベッドへ向かう。
ギシッと軋ませ、ベッドに腰かける。
「…すぅ…すぅ」
雪のような白い肌。
林檎のような赤い髪。
可愛らしい寝顔。
彼女の寝顔は白雪のように美しかった。
「…綺麗な寝顔」
どうやら安眠できてるみたいだ。
きめ細やかな肌の艶さえ見えるほど
至近距離まで顔を近づけて…。
「…んっ」
「ん」
唇を重ね合わせた。するとすぐに目が開く。
「…起きてた?」
「ううん…。キスで起きた」
「ほんとかな?」
「王子様のキスのお迎えで起きたの」
「ははっ、そういうことにしておくよ」
クスクスと笑う僕と彼女。
「おはよう、メリー」
「おはよう、魅人」
彼女が心地よく起きられるよう…
二度と寂しくならないよう…
僕はずっと彼女をキスで迎えに行く。
何度でも…何度でも…
「んっ」
「ん」
愛し合うように見つめたあと、
また1つ、どちらからともなくキスをした。
迎えた朝はとても綺麗な朝だった。
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