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鉛色の雲がさっきまで青かった空を覆いつくした。
暗くなった空から水の粒が大量に落ちてくる。
どこかでごろごろという唸り声も上がっている。
夕立だ。
私は藤棚の下のベンチに腰掛け、降り注ぐ雨をぼんやりと眺める。
土砂降りという奴だ。
また、ここに戻ってきてしまった。
別れと言うのは、どうしてこうも切ない物なのか。
あるいはそれを新たなる出会いへのきっかけととらえるべきか。
「いやー、参ったなぁ」
私がそんな事を考えている矢先に、そんな事言いながら藤棚の下に入ってきた男がいた。
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