夕立の出会い

1/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
 鉛色の雲がさっきまで青かった空を覆いつくした。  暗くなった空から水の粒が大量に落ちてくる。  どこかでごろごろという唸り声も上がっている。  夕立だ。    私は藤棚の下のベンチに腰掛け、降り注ぐ雨をぼんやりと眺める。  土砂降りという奴だ。  また、ここに戻ってきてしまった。  別れと言うのは、どうしてこうも切ない物なのか。  あるいはそれを新たなる出会いへのきっかけととらえるべきか。   「いやー、参ったなぁ」  私がそんな事を考えている矢先に、そんな事言いながら藤棚の下に入ってきた男がいた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!