雨女と晴れ男の恋

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雨女と晴れ男の恋

 はあ、とため息をついて空を見上げる。高校最後の行事でもある卒業式ですらこうなってしまったか、とナーバスになりながら家を出た。  古い記憶だと幼稚園の卒園式、小学校の入学式、運動会、遠足、修学旅行に至るまで全て雨が降っていた。中学、高校と進学してもそれは変わらず。親からは「名前通りの雨女」と言われる始末だ。  その原因が私についているもののせいだと知ったのは最近だ。修学旅行で行った京都の道端で、占い師に声をかけられたことがきっかけだった。 「あなた、すごいものがついてる」 「へ?」 「……龍神ね。あなた、何か大切なことがある時、いつも雨が降っていない?」 「!」  占い師さんが言うには私についているのはかなり力の強い龍神だという。だから水を大切にするようにとか、気持ちが高ぶると雨が降りやすくなるとか色々言われた。 「な、何とか祓う方法は」 「あら、祓わない方がいいわよ。雨が降ること以外は悪いものじゃないし、あなたのこれからに必要だからついているみたいだわ」 「私の、これからに?」 「ええ。はっきりとはわからないけれど、役目を終えたら離れるかもしれないわ」
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