雨女と晴れ男の恋

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 結婚式は身内だけの小さなものにした。式をして簡単な食事をしてから、スタジオで写真を撮っておしまい。いちおう晴れた時は式場内の庭園で撮る予定だったけど、予想通りの曇り空だ。 「こんくらいの天気だったら行ける気もするけど」 「えっ」 「俺にできるだけひっついて撮ればいけるんじゃあ」 「いやあ……やってみる?」  せっかくの機会だからとスタッフさんに確認するとすぐできるように準備だけはしてあったそうだ。さすがプロ、ありがたい。  庭に出ると雨は止みかけていた。カメラマンさんもこれならいけると手早く準備を進める。撮影場所に選んだのは立派な噴水の前だった。  これはいい写真が撮れそうだ。 「美雨」 「ん?」 「ありがとうな」 「えっ」 「俺と一緒になってくれて。今、すっげえ幸せ」 「……晴翔」 「美雨は?」 「私も。今、すっごく幸せ」  ぎゅっと晴翔に抱きつくと晴翔も抱き締め返してくれた。思えば龍神がついているなんて言われなければ晴翔に出会うことはなかったんだ。  もしついていなかったら、私は今、どうなっていたかな。晴翔に出会うこともなく……そんな未来、想像できない。
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