雨女と晴れ男の恋

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 彼とは修学旅行で同じ班になって一緒に行動していて、占い師に声をかけられたときもそばにいた。だけでなく、龍神つきの話をクラスどころか学年、学校中に広めた張本人だ。  いつもはにらみつければ怯んでそれ以上絡んでこないんだけど、今日はなぜかさらに話かけてきた。 「あの占い師本物だったんだな、うちの兄貴もみて欲しいわ」 「お兄さん?」 「立木と違って超晴れ男なんだよ」 「へえ」 「でも強さは立木の龍神の方が強いんだな。兄貴のカサナシ伝説も今日で終わりかも」 「カサナシ伝説?」 「おお。どこ行っても晴れるから傘がなくても大丈夫伝説の傘無し君が、名前も合間ってカサナシ君って呼ばれてんの」  そんなお兄さんは現在大学生で、今日は特に予定がないからと卒業式に来るそうだ。  私とは真逆の性質なのか、うらやましいな。そこでチャイムが鳴って片科は自分の席に戻っていった。 (超晴れ男ねえ、なんか申し訳ないわ)  伝説に終止符を打つようになるなんて、私意外と大物だな。なんて、なんとはなしに窓の外を見るとさっきより明るくなっていた。雨雲が晴れるなんて珍しい。と空を見上げてぎょっとした。
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