雨女と晴れ男の恋

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 勢いで聞いてしまったから理由まで考えていなかった。どうしよう、不審に思われたかも。  と、プレゼンが始まる前なのに泣きそうになっていたらスマホの画面が目の前に現れた。 「はい、これ俺のコード」 「……え?」 「交換しないの?」 「! しっます! ありがとうございます」  急いでスマホを出してコードを読み込むと『カサナシ』という太陽のイラストのアカウントが出てきた。その場で友達申請するとすぐに返ってきた。 「俺にわかることなら相談にのれるから、いつでも連絡して」 「はい、ありがとうございます」 「じゃあ、今度こそ。プレゼンがんばってね」  片科さんが見えなくなるまで見送ったら、一気に汗をかいた。緊張した、これからプレゼンなのに大丈夫だろうか。  ふーっと深呼吸をして気を落ち着かせていると担当の佐切さんがわざわざ降りてきてくれた。 「いや、悪いね立木さん。カサナシのやつこんなところに放置して」 「え、あ」 「ったく、同じフロアに行くんだから最後まで連れてけばいいのに、じゃあ行きましょ」 「は、はい」
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