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そっか、片科さんは佐切さんの後輩だって言ってたな。……ってことはまた片科さんと顔を合わせるの? やば、また緊張してきた。
「うおっ、一気に降って来たな」
「!」
私の気持ちに龍神が呼応したらしく、窓ガラスに打ち付けるほどの激しい雨が降っていた。
○
そして今日、人生の晴れ舞台ともいえる結婚式も予報は降水確率60%だった。
龍神の役目はいつ終わるんだろう。最近は死ぬまで私を見守ることが役目なんじゃあと諦めの域に入っている。
「美雨、入るよ」
「晴翔さん」
「よく似合ってる」
「ありがとう。晴翔さんも、かっこいいよ」
新婦控え室に入ってきた晴翔さんは「そうかな?」なんて照れくさそうに頬をかいた。
連絡先を交換してもからしばらくは仕事のやり取りがメインだった。恋に発展したのは佐切さんが異動になり、新しい担当が晴翔になってからだ。
ちなみに付き合おうと言ったのは意外にも晴翔からだった。なんでも初めて会った高校生の卒業式の日から気になっていたらしい。
「失礼します。準備が整いましたので」
「はい」
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