プロローグ

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プロローグ

 明け方に初雪が観測されたが、空は抜けるように青かった。  雲一つ無い青空。  氷のように冷たい風。  放課後。  学校の屋上。  フェンスの向こうに立つ彼女と、こっち側に立つ俺。  生と死の境界線。  絶望と不幸の境界線。 「実を言うとね、私、この学校、嫌いじゃなかったんだ。転校してきた時は、みんなが私に話しかけてくれてさ。結局、孤立しちゃったけど――それでも、あの時はね、本当は嬉しかったんだよ。なんだか、アイドルになった気分だった」  彼女は、明るく笑う。 「でも、なにより嬉しかったのは、君みたいな男の子に出会えた事かな」 「そうか……」 「だけど、やっぱり止まれないの」 「そうか……」 「本当は、一人で死ぬつもりだった。だけど、君に出会ったら、それが出来なくなっちゃった。一人で死ぬのが、寂しくなっちゃった。だから、死に場所にここを選んで、私が逝くところを君に見ていてもらいたいの」 「そうか……」 「約束、忘れないでね、池谷君。じゃーね」  そして、彼女は俺の前から消えた……
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