カルト組織体験談 宗教まがい編

カルト組織へ入会

カルト組織(以降Ｙ団体と呼ぶ)のホームページには、いくつかの体験談が掲載されてあった。
そこには私と似たような悩みを抱え苦しんでいる人がＹ団体へ繋がり救われたとの内容だった。また私のような症状はなぜ起こるのかなど、全ては霊的なものが原因だと書かれていた。

精神が正常であれば、そんなものぼったくりのための体験談だと理解出来る話なのに。

ちょうどその頃は3連休だったので、その体験談の記事を家事の合間に読みふけった。
Ｙ団体のホームページの記事を一通り読んだあと、いよいよ電話するかどうかを考えていた。

もし電話をして怒鳴られたらどうしよう。威圧的な口調で言われたらどうしよう。

Ｙ団体のホームページには次のようなことも書いてあった。
私達の団体は宗教団体ではありません。神も仏も信じません。霊的な悩みをお持ちの方の救済をしております・・的な内容だった。

宗教団体ではないのに霊的な悩みを救済？もしや祓い屋の類(たぐ)いだろうか？ お祓いしてもらったら良くなるのだろうか？

悩みに悩んだ末、私は電話をしてみることにした。
家族も夜まで帰って来ない。

よし、電話をかけるぞ！と心の中で気合いを入れて携帯を手に取った。
電話の向こうのコール音。1コールがとても長い時間に感じる。心臓の鼓動が喉元辺りでドクンドクンいっているくらい高鳴った。

3コール目で繋がる。電話の向こうから優しそうな口調の男性の声が聞こえた。
私はＹ団体のホームページを見て電話したこと、今自分が悩まされている症状を話した。

電話の向こうの男性は数秒沈黙の後、霊症ですね。あなたに霊がとり憑いていますね。と続けた。

神仏は普通に信じている方だったので、そちら系の話は苦手ではなかった。
やっぱりお祓いしないとダメってやつかなぁと心の中で呟いた時

電話の向こうの男性(以降Iさんと呼ぶ)がとりあえず除霊体験してみますか？と言ってきた。
え、電話の向こうから除霊とか出来るの？？と驚いていたら遠隔で出来るとのこと。けれどあくまで体験なので、除霊体験終わったらまたもとに戻りますと。

どんなものなのか分からないので除霊体験なるものを受けてみることにした。
電話の向こうから色々と指示が飛ばされ、その通りに動く。急に体が重くなって、それから急に体が軽くなった。

どうですか？と言われたので、確かに体は軽くなりましたと私は答えた。そして、お祓いをお願いする事にした。

電話の向こうのIさんは、それについてこのような提案をしてきた。

“霊体はお祓いをしてもすぐに戻って来てしまいます。
そのため当団体では霊的なものにとり憑かれやすい方のために月契約で霊的なものから身を守るシステムを導入しています。”

詳しく話を聞くとまず霊的なものから身を守るためのアイテムを購入しなければならないという。アイテム代は◯万◯千円。御守りアイテムとしては高額だ。この値段だと宝石店でネックレスが買えてしまう。
これに先ほど説明があった月契約料金◯千円を月々振り込みで支払うと言うことだった。

思わず、結構なお値段になるんですねと言うと

“その値段が高いか安いかですが、あなたの身の安全を考えればとても安いと思いますよ。命あってのものだねですから”

俗に言う、あるある文句である。

かくして私はＹ団体に入会した。