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借金をして自宅のお祓いを依頼することになる
それから毎晩のように悪夢にうなされる日々が続いた。悪夢の内容は自宅のお祓いをしなかったため自分が不慮の事故で死んでしまうものばかりだった。
やっぱり早く自宅のお祓いをしないからこんな夢ばかり見るのだろうか。
何かがおかしい。
けれど、それを考えようとするときまって頭痛がした。
何も考えられない。
早く借金をして自宅のお祓いをしなければ・・・。
私はそれから数週間後、借金(カードローン)をして自宅のお祓い代を用意する。
Y団体のIさんにその事を伝え正式に自宅のお祓いを依頼した。
自宅のお祓いはY団体の大先生がIさんと共にこちらへ来てお祓いをしてくれるとのことだった。
Iさんが言うには、大先生が直接依頼者の自宅へ出向くなんて滅多にないことなんですよ。とても有り難いことです。大先生に感謝しなくてはなりません。などと電話で嬉しそうに言っていた。
そうかぁ。Iさんがそう言うのならそうなのだろう。
Iさんが電話で話した最後の言葉が頭にずっと響いていた。
“何も心配しなくても何も考えなくても大丈夫ですよ。全て大先生に任せていればいいんです。そう、大先生のことだけを考えていればいいんです。”
私の頭の中は靄(もや)がかかったみたいに、その中でIさんの言葉だけが何度もリフレインして・・・。
私は何を考えていたのだろう。
何も考えられない。何かを考えようとすると頭痛がする。
そうだ、何も考えなくていいんだ。
Y団体の大先生のことだけを考えていればいいんだ。
自宅のお祓いをY団体に依頼してから不思議と悪夢を見なくなった。金縛りも、幻覚幻聴も何かの視線や気配を感じることもなくなった。
ただ、自宅のお祓いの日時が近づくにつれて言いようのない圧迫感が日に日に強くなっていった。この精神的な圧迫感はなんなんだろう。
Y団体のIさんに電話で聞くと自宅をお祓いされると困る霊達が妨害をしているからだと。お祓い当日まで耐えて欲しいとの返答だった。
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