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自宅祓い決行日
いよいよ自宅のお祓い当日。
Y団体の大先生とIさんは午後イチでこちらへ到着するとのことだ。
今日は私の仕事は休みで日中なら家族も居ない。
家中を歩き回ると言っていたので前もって部屋中を掃除しておいた。
ここで気持ちのおさらいだ。
まずどんな事が目の前で起こっても冷静さ(平常心)をなるべく保つこと。
誘導されるような話には一呼吸おいてから答えるようにする等々。
インターネット検索で調べた冷静さ(平常心)を保つ方法を繰り返し呟いた。
予定時刻を過ぎてから自宅前の駐車場に1台の車が入ってきた。
Y団体の大先生とIさんと思われる2人の男性だ。
私はすぐに玄関へ向かった。
ネット検索で冷静さ(平常心)について学んだ私だったが世の中、上には上がいるもので素人の付け焼き刃的なスキルでは太刀打ち出来ない人達がいるということを忘れていた。
なぜなら彼らはその筋のプロだったのだから。
玄関を開けると細身の男性と私がこの団体のトップですと言わんばかりの風貌の男性が目の前に立っていた。
言わずとも細身の男性がIさんで威圧的な風貌の男性がY団体の大先生だろう。
どうぞと私はリビングに2人を案内した後、キッチンでお茶を入れて2人に出した。
私がY団体の代表ですと名刺を差し出された。すかさず細身の男性も私がIですと名刺を差し出した。
受け取った名刺のデザインは、どう見ても新興宗教的なデザインが施されている。
宗教団体なんですか?と聞くと大先生は違うよと笑って答えた。
さっきまで威圧的で怖い感じだったのに部屋に入った途端気さくな雰囲気に変わっていた。
かわりにIさんの方が無言で険しい表情を浮かべている。
あのう、Iさんは・・・と私は話しかけて、彼自身私に話しかけられた事に気付いていない状態だったので途中で話しかけるのを止めてしまった。
それを察したかのようにY団体の大先生は、彼は今臨戦態勢なんだよ。見習い弟子なんだと苦笑いしながら教えてくれた。
弟子って、やっぱり何かの宗教関連の団体なんですか?と聞くと、よく間違われるんだよ。あれだよ、祓い屋だよ。と困ったように大先生は答えた。
祓い屋なのに宗教ではない??お祓いするのに神仏の力を借りてするのではないのだろうか。
頭に?マークが沢山浮かんだ状態でいると大先生は続けてこうも言った。
“神仏は信じていない。
神仏に力などない。
これからこの家の祓いは私の力でする。“
前置きはこれぐらいにして祓いを始めるけれど良いかい?と同意を求められ私は頷いた。
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