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 「午後から局地的な雨になるでしょう───」  朝っぱらからあくび一つせず、甘ったるい声でお天気お姉さんが喋っている。まったく、朝っぱらから元気だなぁ……。そんなことを思いながら、目の前にあるトーストにマーガリンを塗っていく。 「そう言えば、マーガリンって体に悪いんだっけ……?」  唐突に数日前に見たバラエティー番組を思い出した。まあ、どっちでもいいや。バターだろうがマーガリンだろうが油には変わりないんだし……。  第一、眠いからこれ以上考えたくない。余計な思考を巡らそうとした自分に嫌気がさす。こんな調子では夕方まで持たない。  学校ってやつは憂鬱だ。毎日朝早くから教室に集まらなければならない。授業や学校生活それ自体はそれほど嫌いではないものの、毎朝八時半まで登校しなければならないという決まりはどうしても納得できない。  もう既に八年目に突入した学校生活だが、いつの日か自由な時間に登校できる日がくるのではないかと毎日祈り続けている。お祈りは私の得意技。     だが、今朝もその祈りは天に通じることはなかったようだ。まあ、ありえないよね。中学二年にもなるとどこか悟りに近い諦めを感じるようになっていた。これが、一部の男子の中でまん延している中二病ってやつなのだろうか……。 そんなことを思いながらうだうだ朝食を取っていると、台所から声が聞こえた。 「紗代、早く食べて学校行きなさい!母さんだって仕事があるんだから!また遅刻するわよ!この前みたいに担任の先生に呼び出されるのは嫌だからね!」 「はい、はい、わかりましたぁ」  食器をテーブルに置きっぱなしにしたまま、近くに置いておいたリュックを肩にかけ、玄関に向かう。  玄関につくと、そこにはローファーとハイヒールが二足と傘立てに立てられた三本の傘。迷わずローファーを履き、傘立てにある傘に手をかける。  「やっぱ、こっちがいいかな……」  一度手に取った味気ないビニール傘を手放し、隣に立てかけていた男物の黒い折り畳み傘をつかんでリュックに入れ、家を後にした。 空は晴天。 強い日差しに肌がひりひりするのを感じる。
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