ep.2

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 30分もしないうちにエントランスのインターフォンが鳴った。それを室内の画面で確認して真柴は素直にロックを解除した。2分してドアのインターフォンが鳴る。  真柴は応答せずに直接玄関に向かいドアを開いた。 「こんばんわ」  その先にいたのは私服姿のキイチのだった。  ワイドフィットなパステルパープルのTシャツから白い生地の裾を覗かせ、生成色のシェフパンツを履き、足元はパンツと同系色のローカットスニーカーだった。 ──モデルみたいだ。  ファッション誌から切り取ったみたいにキイチの存在感はどこか現実離れしていて、本当に今目の前の同じ世界線にいるのか不安になるくらいだった。更にこんなに存在感のあるαに真柴はかつて出会ったことがなかったのだ。 「おのー、あがってよろしいですか?」 「あっ、ごめん。どうぞ」  ポカンと無反応のままだった真柴にキイチは痺れを切らしてお伺いを立てると同時に既に廊下に一歩踏み入れていた。 「あっ、お茶淹れるよ!」 「お構いなくー」  自分の部屋なのにキイチが先を歩いていて、後ろから真柴が慌てて声をかけていた。  追いかけた背中が急に止まって真柴はそのまま肩に頭をぶつけた。 「え、なに?」ぶつけた頭を撫でながら真柴は見上げる。 「風呂はもう入ったの?」 「風呂? あ、うん、入った」  何の質問なんだろうかと不思議に思いながらも真柴は素直に答えた。 「リョーカイ」  キイチはそう告げると少ししゃがんで真柴の両太腿に腕を巻きつけるといきなり身体を持ち上げた。 「ひゃあっ!」  小さい子供でも持ち上げるようにキイチは楽々と成人している真柴を肩に抱えて運び始める。 「何してっ、離せっ、おいっ!」  リビングの隣に続く寝室の引き戸を片足で器用に開けるとキイチはベッドに真柴を投げた。  仰向けになったままの真柴の上にすぐに、キイチは体重をかけてくる。 「ちょっ、何考えてっ……」 「何って、アンタΩなんだろ? 俺が気づいてないなんて流石に思ってなかったよね?」 「それは……思ってないけど、それがどうしてこうなるんだ」 「はぁ?? 俺はαでアンタはΩ、それ以外何があるっての」  真柴はキイチの言ってる意味が理解できなかった。  そんな本能的な事だけで俺たちは生きてるわけじゃない──  αやΩである以前に人間だ。知能もあって理性だって、それに常識だって持ち合わせてる。 ──何より一番大切な、人としての感情だって持っているのに……。 「やめろよっ、こんなっ……」  上に掛かるキイチの身体を必死に押しのけるが体格差がありすぎてびくともしない。 「10代の処女じゃあるまいし何かわいこぶってんの、そういうの全然萌えないから」 「うるさっ……」  面倒臭くなったのか、キイチはさっさと真柴の口をキスで塞いでろくに抵抗できていない相手からさっさと服を剥ぎ取った。 「──やべ、いい匂い……」  真柴の首筋を嗅いでそう口にしたキイチからもさっきまでは感じなかった香りが真柴へと届いてくる。 ──発情期(ラット)?  そう気付いた頃には手遅れだった。  真柴は全身から汗が吹き出し、一気に体温があがる。真っ白な肌は全身がピンク色に染まり、キイチを誘うように無自覚に身体をうねらせた。 「なんで……薬飲んだのに……」  薬で発情期(ヒート)の周期を安定させていたはずなのに、頓服で飲んだ薬も虚しく真柴はあっという間にヒートに突入した。  直接肌の匂いを求めたいのかキイチも着ていた服を全部脱ぎ散らかし、真柴の首筋に深く顔を埋めては甘い吐息を漏らした。  何一つ抵抗できず、真柴はその匂いと体温だけでおかしくなりそうだった。なぜだか涙が出て、キイチに抱きしめられると人間の理性が壊れて消えていく──。  キイチが肌を甘噛みするたび真柴は甘く吐息を漏らした。胸の尖った部分を何度もきつく吸われて真柴の腰はジンジンと疼く。  胸を責められただけで真柴の秘部は愛液で濡れ、キイチが嬉しそうにそこへ指を這わせた。最初は縁を擦るだけだった長い指が真柴の中にゆっくり入ってきて何度も抽送を繰り返すと、滑りの良くなった奥まで一気に貫いては激しく貪る。 「あっ、あっ……ん、んっ」  掻き回されるたび、無意識に腰が一緒にグラインドする。2本に増やされた指が何度も真柴の感じる場所を刺激してきて真柴の嬌声は止まらないままだった。  真柴はあまりの刺激に口から漏れる涎を飲み込むことができずに顎へといやらしく滴らせていた。 「やっ!」  刺激の怖さに目を瞑っていた真柴の目がパッと開いた。さっきまで指が張っていた場所に突然生温かい生き物が入ってきたからだ。  赤く長い舌が入り口を何度も嬲り、次第に真柴の中を美味そうに蹂躙し始める。 「だめっ、そんなっ、だめっ……」  卑猥な音が真柴の耳にまで届く。ぐちゃぐちゃと音を立ててキイチの頭が激しく動くたび真柴は気を失いそうになっていた。 「あっああっ、だめっ、イッ……イッちゃう、あっ……」  感じたこともない快楽の波が下から迫り上がってきて頭に到達するあと少しのところで真柴の中からキイチはいなくなった。 「やっ……」  急に冷たい空気に晒され、真柴は苦しそうに鳴いた。 「エロ……ここ、すっげぇヒクヒクしてる」  両膝を大きく開かされ、上からキイチが舌舐めずりしながら真柴の恥ずかしい場所を覗き込む。  キイチの完全に反り上がった雄が真柴の視界に入り全身に鳥肌が立った。 「キイチ……のすごぃ……」 「ほんと、真柴のこの小さいお口にちゃんと入んのかな?」  意地悪げにキイチは自身の雄をひくつく真柴の秘部にぴたりと当てた。それだけで真柴は全身を震わせ、吐息がより乱れている。 「キイチ……」涙で潤んだ瞳がキイチを無自覚に誘惑する。  キイチの腰もビクビクと痺れ、限界が近いのがわかった。  ゆっくり真柴の中にキイチが入ってくる── 「あっ……あ──」  真柴がその形を味わうようにキイチに吸い付いてくるが、キイチは構わず一気に奥まで貫いた。 「ああ──っ!!」  全身を電気が走ったみたいに激しい衝撃と痺れが真柴を襲った。  あとはもう激しく揺さぶられ真柴は顔を退けぞらせて顔の横にあるシーツを掴んでそれに耐えた。  一気に中まで貫いたと思ったらギリギリまで抜かれてそして再び奥へと穿つ。  気が狂いそうになりながら真柴は何度も鳴いては達した。 「助けてっ……もっ、無理っ、あっ、ああっ」 「嘘つけっ、アンタのここ無茶苦茶吸いついてきてんだけど? 好きなんだろ俺のっ」  わざと真柴の感じる部分を擦りつけてキイチは悪い笑みを浮かべている。 「ああ──ッ! あっあっ、んっ……あっ、すき……すきっ、キイチの気持ちっ……あっ……」  最早真柴に人間としての理性など残ってはいなかった──。Ωとしての本能と欲望だけがそこに形としてあるだけで乱暴に自分を貪るαに服従しては何度も身体を開いてみせる。  キイチに貫かれるたびに襲ってくる快感にただ溺れて自制できない声を上げた。  抽送を繰り返すキイチの雄が痙攣し、形を変えて真柴の中で止まる。 「あっ、ダメ……ッ」  一瞬恐怖を覚えた真柴が身体を後ろにひいてもそれはピッタリと繋がっていて離れることはなかった。  細い腰を掴まれ深く口付けられる。抵抗するための両手はキイチの肩に深く食い込むだけでその目的を果たすことは出来なかった。  キイチが小さく唸り真柴の中に熱い欲望が全て注ぎ込まれる。それすら真柴は感じてしまって、腰をビクビクと何度も痙攣させた。  最後の最後まで繋がった場所を強く締め付けて真柴は震えて達した。
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