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死んだように眠る真柴が本当に死んでいるんじゃないかとキイチは不安になって顔を覗き込むが小さく寝息が溢れていて安堵した。
Ω特有の華奢な身体をした真柴の全身にはキイチがつけて回った跡が痛々しく残り、流石のキイチも申し訳ない気持ちになる。
初めて会った時はもっと鬱蒼としていた髪も今は綺麗に散髪されて前よりかは多少垢抜けていた。
「それでもこんなぱっとしないΩいます? こんなαに媚びない奴初めて会ったわ」
Ω全員がαに媚びて生きてるわけでもないが、無意識にそれはαと対峙した時に少なからずとも現れる。それが真柴には一切感じられなかったのだ。
「アンタは一生一人で生きてこうと決めてるΩだったんだろうな。プライドだけは無駄に高そうだったし──」
──そーいうの、辛くねぇの?
キイチは真柴の額にかかる髪をすきながらその寝顔に問いかけた。
「────痛い……、裂けた、絶対……」
起きあがろうとして途中で岩のように固まった真柴が唸る。
「見てやるよ、ホレ」とキイチが布団をめくろうとするのを断固拒絶する。
「アホかっ! お前って本当にデリカシーのないガキだな!」
「はい、ありませんよぉ〜、デリカシーもプライドも僕にはごさいませーん。そんなもん何の役にたつの」
言葉の端々に棘を感じながら真柴はギロリとキイチを泣いて腫らした目で睨んだ。当の本人はニンマリ笑ったままだ。
「お前いつもこんなセックスしてんのか? Ωのことなんて無視してこんな、無茶苦茶なの……」
「知らないよ。それにアンタが勝手にヒートになったんだろ、それって俺だけのせいなの?」
「それはお前がラットになって俺を」
「俺を──? ヒートを制御出来ないのはアンタの責任じゃないの?」
バシンとキイチの頬から乾いた音が響いた。
「痛って……。自分の意見が通らない時は暴力ですか。αがΩを殴ればDVだって喚かれて、逆なら世間的常識だとでも思ってんの?」
真柴はキイチの正論に一瞬言葉を失い唇を噛んだ。
「だから……って、何回も中に出すとかありえない……」
「──それはごめん。なんかあん時はまともな判断がつかなくなってた」
バツが悪そうに話すキイチを不思議そうな顔で見ている真柴に「なんだよ」とキイチが怪訝な顔をした。
「お前の辞書に謝罪なんてあったんだな」
「まじアンタ失礼だな!!」
キイチに手伝って貰ってバスルームまでなんとか辿り着くが、一人になりたいのに自分も入ると言ってきかない子供に負けて中に入れたのが失敗だった。
お互い正面を向き合って壁に真柴を凭れさせ、左足を持ち上げてキイチは脇でそれを挟んだ。
真柴の中を洗うふりをしてキイチは奥まで指を沈めてその中を何度も掻き混ぜた。
「んっ、ん……バカ、やめ……」
「まだ柔らかいね、アンタの──」
転ばないように真柴はキイチの肩にしがみつくのが精一杯で与えられる刺激に逆らうことは出来ない。
「いっ、挿れるの禁止ッ、許さないからッ……」
「え? ごめん、聞こえない──」
柔らかくなった場所に簡単にキイチは入り込んだ。バスルームに真柴の声が反響する。
奥深く貫かれて真柴は腰の力が抜けてしまい壁を滑り落ちそうになるのをキイチが抱きとめる。
そのまま尻を抱え上げられてほぼ全体重をキイチが支え、落ちないように必死に真柴は両手両足をキイチの身体に絡めた。
下から激しく突き上げられて洗ったばかりの場所がぐちゃぐちゃと音を立ててるのが真柴の耳に届いて恥ずかしくて堪らない。
なのに中で嬉しそうに膨らむキイチにたまらなく快感を覚えてしまう。それが更にキイチを刺激して余計に真柴は自分自身を追い込んだ。
散々振り回されて何度も何度もイかされて、ヘトヘトになって二人でバスルームの床にへたり込むとキイチはそれでも真柴の身体を離さなかった。
すぐにその理由を真柴は身体の中で理解した。
「! ──お前……性懲りも無くまた……」
「──すみませんでした……」
キイチは黙って左の頬を差し出した──。
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