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「奇遇ですね。僕も人殺しなんです。」 時計の針は急速に進み出す。 この言葉をきっかけに始まった僕らの物語。 これはその延長線上のロスタイムの様な物。 広い、限りなく無地に近い闇を2人は1人占め。 とけあえない僕らは月と太陽を連想させる。 何も無いようで、なんでもある。 それが辛うじて埋めているこの闇夜。 崩れ落ち、塵となり、光る。 こんなのを知ったのは初めてだ。 彼はこの結末を受け入れていたかの様な表情で俺を抱擁しようとする。 泣きそうなまであるその言葉は善心を抉る。 先刻またやってきたあの感情を気化させるのを実現した俺の目に一体何が映っただろうか。 「僕、数日前に同級生を殺したんです。」 そう言って、彼は笑った。 彼の顔は、零落なんてしていなかった。 見ない、聞かない、そう見えた。 ただ、ひとつ。 ひとつだけ。 あなたは? 続けろ、と向けられる指針。 そう、あれも少し前のこと。 君の星を壊し、破き、砕いたあの呼吸の痕跡。 極夜と化したあの空間と繋がる記憶も空虚。 「俺はさ、みんな殺しちゃった。」 つまらない話さ、と付け加える。 時計の針は止まってはくれない。 彼の本心はひとつ、最期に遠吠えを上げた。 僕は、 それでも、誰かの星になりたかったんです。 暗み、眩むこの夜更けに願いを添えて。 月夜の下で二人は舞う。 『舞』
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