空と彼とメーガン法1

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空と彼とメーガン法1

【いじめ かっこわるい】 なにがカッコ悪いだ。今時の若者がそんな標語でいじめを止めるとでも思っているのか。そもそも、いじめをしていない奴はカッコ良い奴ばっかりか。んなわけ無いだろが。 どうせなら【いじめ レイプ犯】くらい言ってみろ。ほんで、アメリカのナントカ法みたいに、レイプ犯を顔写真付きでインターネット上に晒して、クリックしただけでその犯罪者がどこにいるか分かるくらいの刑罰を課してみろ。絶対いじめ減るから。確実に。 やりすぎだって?でも似てないか?被害者の精神的苦痛の大きさとか、加害者の性癖じみた行動とかさ。別に復讐しようとか思っちゃいない。ただ、近付きたくないんだ。半径10km以内にいたくないんだ。 「よぅ」 分かるだろう。せっかく誰にも知られないように細心の注意を払ってド田舎の大学に進学して、それなりに満喫した大学生活を送ってきて。昨今の就職難にもめげずに無事地元の公務員試験に合格して。 「久しぶりだな碓氷。この俺に何も言わずに消えといて良い度胸だなぁオイ」 僕の人生はこれからなんだ。こんなトイレで人生を諦めるなんて嫌だ。 「無視か。へぇ」 隣で手を洗ってる奴は幻覚だ。いつもの被害妄想だ。大丈夫。僕、大丈夫。ね、ほら鏡の前の僕も笑って… ガン!!!!!!!!!! 「ヒィィィィィィィィイ!!!!!!!!!!」 鏡の中の僕に真新しいけど重そうな鞄が投げつけられた。隣にいる男が持っていた鞄みたいだ。 「シカトか?碓氷」 「……………ぃぇ」 「シカトじゃなきゃ何なんだよ」 「…あの、少し、お…驚いて」 「言い訳する前に言うことあんだろが」 「…ごめ、ごめんなさヒィィィッッ」 「久しぶりの挨拶は?」 「久しぶりです朝霧君!!!!!」 「うん、久しぶり」 鏡の中でニコッと男前に微笑んだのは、幼なじみで、生まれてから高校を卒業するまでの17年間、僕をいじめ続けてきた朝霧君だった。
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