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人の「怒り」というものは、とてつもないエネルギーを持っている。
気持ち次第で無限に湧き出るエネルギー。
これを使わない手はないだろう。
そんな社長の思いつきで「怒り」をエネルギーにして走る車――怒車を開発した会社があった。
その怒車が、梅雨明けの今日、満を持してお披露目される。
記者が聞く。
「怒っている状態で車に乗るのは、危険ではないのですか?」
社長の隣に立つ専務が答える。
「エネルギーである怒りは、車に吸い取られていきます。怒り狂った人間が何人乗っても、車内で乱闘が起こることはないでしょう。自動運転車ですので、暴走の心配もいりません」
「怒りを吸い取る車が普及すれば、世界は平和になりそうですね。それではさっそく、実際に怒りで走るところを見せていただけますか?」
「はい。では、」
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