キアゲハ

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僕は紗羽ちゃんを僕の部屋に案内して、今まで採った昆虫を保管している土と木の枝を入れてあるガラスケースを見せた。 そして今日採ったカブトムシ1匹とクワガタ2匹もガラスケースの中に入れた。 「この虫、どうするの?」 紗羽ちゃんに聞かれた僕は、 「夏休み中観察したら、夏休みが終わる頃に山に返すつもりだよ!」 と正直に話した。 すると紗羽ちゃんは、どことなくほっとしたような表情をしているように僕には見えた。 お母さんが氷の入った冷たいカルピスを部屋まで運んでくれて、紗羽ちゃんと僕はカルピスを一緒に飲みながら話をした。 紗羽ちゃんは僕と同じ小学校の5年生で僕とは学年が1つ下だけれど、1学期が終わって夏休みに入った時にお父さんの仕事の関係で引っ越してきたということだった。 だから僕は、紗羽ちゃんのことを小学校で見かけたことがなかったわけだ。 僕は紗羽ちゃんに小学校のクラブ活動のことや運動会などの行事のことを話した。 すると紗羽ちゃんは、とても興味深そうに僕の話を聞いてくれているようだった。 少しするとお母さんが僕の部屋に来て、 「そろそろお昼の支度をするけど、紗羽ちゃんも一緒に食べてく?」 と質問すると紗羽ちゃんは、 「お母さんが待ってるから、今日は帰ります。」 と返事をしたのでお母さんが、 「またいつでも遠慮なく遊びに来てね!」 と笑顔で紗羽ちゃんに言葉をかけた。 紗羽ちゃんは少し僕の部屋にいて、12時少し前になると、 「澄翔くん、今日は楽しかった。  また遊ぼ!」 と言って玄関を出て自宅に帰った。 僕は玄関を出た所で、紗羽ちゃんに手を振ってお別れした。
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