1話 芋餅

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 「お、おはよう。サーラちゃん。」  「ほい、おはよう。…お父ちゃん。…また一人で晩酌して、片付けたら寝落ちしたでしょ。」  そう言われ、ロンドは罰が悪そうな表情で、頭を掻いており、  「…あ、あはは。……えっと、今は何時だ?」  「もう、朝じゃから。…朝御飯食べたら、ハンターの仕事に行かないと遅れるよ。」  「あぁ、そうだった。…今日から、また山の害獣討伐に行くんだったな。…」  と会話をそこそこに打ちきり、椅子に座り直すと、一足先に食事に手をつける。仕事に行くときは何時もの流れである。  それをサーラは見届けると、踵を返して食卓の横を通り過ぎ、居間を後にしようとする。  「じゃ、…私、先に洗濯しているから…。」  「あ、あぁ。…ありがとね。…今日も美味しいよ。」  「そうじゃろう、…そうじゃろう。」  「むぅ、…ねぇ、サーラちゃん。」  しかし廊下に出る途中で、ロンドから呼び止められた。  「なに?」  「あのさぁ、…前から思ってたけど、たまに言葉使いが爺むさいよ。…」  「そうかの?…でも、なんかしっくり来るんじゃが、~。」  「いやぁ、もっと年相応の話し方や仕草がいいと思うんだけど。…おかしいよ。」  「年相応ねぇ、…」  とサーラは呟きながら、首を傾げてしまう。だが、ふと脳裏にあることが過ると、悪戯っぽい笑みを浮かべだす。そのまま、後ろを振り返りつつ、  「きゃはっ♥️」  と満面の笑顔を向けながら、小首を傾げた可愛らしいポーズをする。両手をグーにして揃ながら口元を隠したり、片足を後ろに上げた仕草があざとい。なんとなく自分でも楽しげになり、部屋を去る足取りも軽くなったようだった。  「うちの娘が、かわいい!!」  朝の早いうちから、ロンドのテンションが上がりきり、雄叫びが部屋中に響き渡った。無駄な時間を費やし、仕事に出るのが遅くなったのだった。
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