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「お、おはよう。サーラちゃん。」
「ほい、おはよう。…お父ちゃん。…また一人で晩酌して、片付けたら寝落ちしたでしょ。」
そう言われ、ロンドは罰が悪そうな表情で、頭を掻いており、
「…あ、あはは。……えっと、今は何時だ?」
「もう、朝じゃから。…朝御飯食べたら、ハンターの仕事に行かないと遅れるよ。」
「あぁ、そうだった。…今日から、また山の害獣討伐に行くんだったな。…」
と会話をそこそこに打ちきり、椅子に座り直すと、一足先に食事に手をつける。仕事に行くときは何時もの流れである。
それをサーラは見届けると、踵を返して食卓の横を通り過ぎ、居間を後にしようとする。
「じゃ、…私、先に洗濯しているから…。」
「あ、あぁ。…ありがとね。…今日も美味しいよ。」
「そうじゃろう、…そうじゃろう。」
「むぅ、…ねぇ、サーラちゃん。」
しかし廊下に出る途中で、ロンドから呼び止められた。
「なに?」
「あのさぁ、…前から思ってたけど、たまに言葉使いが爺むさいよ。…」
「そうかの?…でも、なんかしっくり来るんじゃが、~。」
「いやぁ、もっと年相応の話し方や仕草がいいと思うんだけど。…おかしいよ。」
「年相応ねぇ、…」
とサーラは呟きながら、首を傾げてしまう。だが、ふと脳裏にあることが過ると、悪戯っぽい笑みを浮かべだす。そのまま、後ろを振り返りつつ、
「きゃはっ♥️」
と満面の笑顔を向けながら、小首を傾げた可愛らしいポーズをする。両手をグーにして揃ながら口元を隠したり、片足を後ろに上げた仕草があざとい。なんとなく自分でも楽しげになり、部屋を去る足取りも軽くなったようだった。
「うちの娘が、かわいい!!」
朝の早いうちから、ロンドのテンションが上がりきり、雄叫びが部屋中に響き渡った。無駄な時間を費やし、仕事に出るのが遅くなったのだった。
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