序章 遥か昔の記憶

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 「わぁ!…いい匂い!」  すると廊下には、大勢の子供達がいた。パッと見て十人近くはおり、少年と少女が半々ずつで、年齢は様々で幅広い。年長は十二歳くらいから、最も年下は五歳か四歳くらいだ。  「早く早く!!」  「待ってよ!」  「コラ!…ラーサ様がいるんだから、走らないの。」  そんな子達が、幼い方から順番にどっと室内へとなだれ込んでくる。  さらには年長の子が、走った事を叱責していた。  彼等の様子を見て、キッチンにいた女の使用人達が慌てふためいている。  「すいません、ラーサ様。」  「うちの子達が、お行儀悪くて。」  しかし、ラーサは声を出して大笑いしながら、  「ホホ。…元気があってよいよい。…それよりも、料理が冷めるから、皆を席に座らせるぞ。」  と優しく嗜めて、指示を飛ばしだした。  再び使用人達も齷齪と動き出す。  すると子供達も周りの様子を見て、自ずと大人しくなり、全員が促されて着席していく。  「んしょ。」  その中で、あどけない少女がテーブルの真ん中辺りの椅子に座っていた。  彼女は栗色の髪と青い目が特徴的で、端整な顔立ちをしており、最も小柄で華奢な体躯だ。また白いドレス風な洋服でめかし込み、誰よりも目立っていた。  ラーサは近寄り、少女の肩に手を置くと、皆に話しかけだした。
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