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「皆知っての通りじゃが。…今日は、マリーのお祝いじゃ。…私達から腕によりを掛けて、ご馳走を用意したから、お腹一杯になるまで食べなさい。」
そう言うや否や、子供達は手を合わせて食前の御祈りをし終えると、一斉に銀食器を手にする。
皆は思い思いに、料理を堪能していた。
少年は分厚い肉を頬張って、溢れる肉汁に感動する。
少女は魚を口に入れ、揚げたてのサクサクした食感を楽しんでいる。
その親達もテーブルの側で立食していた。途中で子供達の口に付いたソースを拭いたり、落とした食器を拾ったり、と世話をしている。
やがてキッチンは、和気あいあいとした雰囲気に包まれていた。
そんな様子に、ラーサも微笑みを浮かべながら、周囲を見渡していたら、
「…おいしい。」
ふと途中で、マリーの姿が目に止まったのだった。
彼女は一心不乱に、アップルパイを食べていた。たどたどしい動きで銀食器を持つ手を止めません。さらには、「…もう一個ほしい。」と囁きながら、空になった皿を見つめている。
「そうか、ほれ。」とラーサが、すかさずアップルパイを切り分けてくれた。
「召し上がれ。」
「あ、ありがとうございます。ラーサ様。」
「よいよい、…沢山食べていいからな。…そんなに気に入ったのか?」
「うん。…あたし、これ大好き!!」
とマリーが満面の笑みで、元気に答えた。
「そうかい、そうかい!!…実はな、これ、普通の林檎じゃなくてな。…」
するとラーサも良い気分になり、饒舌に喋りだす。事細かにアップルパイの詳細や作り方までを分かりやすく説明を始めたのだ。
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