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「おぉ、いい匂いだ。今夜もご馳走だな」
「お父さん、おかえりなさい!」
「ただいま、真也。良い子にしてたか?」
「うん。お父さんも、ちゃんとお仕事してきた?」
もちろんだ、と笑う玄馬に、幸樹も微笑みかけた。
「おかえりなさい、玄馬さん。先に、お風呂にしますか?」
「僕、お父さんと一緒にお風呂に入りたい!」
賑やかな真也に、玄馬は目尻を下げた。
「そうかそうか。じゃあ、一緒に入ろう」
二人でバスルームに向かう、父子。
その背中を見送り、幸樹は少しだけ不安になった。
「真也、いつ玄馬さんの刺青を意識するようになるだろう」
幸樹や真也を危険に巻き込まないよう、玄馬はこの数年きれいな仕事を選んでいる。
いずれは、暴力団の看板を下ろす覚悟まで、できている。
「でもまだ、ヤクザさんなんだよね」
施した刺青も、消えはしない。
小さくため息をつき、幸樹は天ぷらを皿に盛った。
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