229人が本棚に入れています
本棚に追加
「え? パパも水族館に行くの?」
「そうだ」
「お父さんと僕だけじゃなくって?」
「ああ」
少しだけ、真也は口を尖らせた。
「今日は、お父さんを独り占めできると思ってたのにな」
「パパも一緒でなければ、お父さんは水族館には行かない」
クッションを抱き、駄々っ子のような仕草の玄馬に、真也は仕方がないな、といった表情だ。
「いいよ。パパも一緒に行こう」
「真也、いいの?」
息子に気を遣う、幸樹の姿がそこにあった。
「やだ、って言ったら、お父さんはパパと二人だけで水族館にいくでしょう」
「……読まれてるな。私の行動は」
そうと決まれば、と玄馬はさっそく支度を始めた。
「行くぞ! 水族館!」
「解りやすいなぁ、お父さんは」
「そうだね」
やっぱり子どもが二人いるみたい、と幸樹は玄馬を笑い目で見た。
最初のコメントを投稿しよう!