第二章 愛する人が二人いる

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 水族館へ行くと、これはさすがに真也がはしゃいだ。 「わあ! 大きな水槽がいっぱい!」 「おいおい、迷子になるなよ」  大丈夫だよ、と真也は胸を張る。  こうしておけば、はぐれない。  幸樹は右手で玄馬、左手で幸樹の手を握った。 「嬉しいな。一度、こうしてみたかったんだ」 「一度、って。今まで何度もこうしてきたじゃないか」 「水族館では、初めてだから」  お父さんも、パパも、大好き!  そう言う真也に、玄馬は頬を緩めた。 「お土産はなんにする? 何でも買ってあげるぞ!」 「今、来たばかりだよ……」  微笑ましい親子の会話に、幸樹は笑った。  玄馬さんなら、大丈夫。  刺青の意味を真也が知っても、きちんと話ができる人だ。  改めて、幸樹は玄馬を見直した。 「玄馬さん」 「ん?」 「愛してます」
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