第二章 愛する人が二人いる

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 な、なな何だ? 突然、こんなところで!  慌てて赤くなる玄馬に、真也が訊ねた。 「お父さんは、パパのこと愛してる?」 「それは、もちろんだ」  愛してるよ、幸樹。  そして。 「真也。お前のことも、愛してるぞ」 「ふふっ。よしてよ、恥ずかしいから」  真也のリアクションに、玄馬と幸樹は顔を見合わせた。 「どっちが大人か、解らないなぁ」 「真也、しっかりしてますから」  それでも、握った手は離さない真也だ。  その小さな手の、ぬくもり。  これは、命に代えても守って見せる。  玄馬は、心にそう誓っていた。 「まさか、幸樹以外に愛する人ができるなんて思わなかったよ」 「僕もです」  この二人の愛の証は、これからもその命を守られて育ってゆく。 「早く、真也と晩酌したいな」 「もう。気が早すぎますよ」  笑い合い、二人は真也に手を引かれて行った。
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