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通常ここでキャンドルを持ち、各テーブルを回るのだが今回美里に危険があるかも知れないと思い、テーブルを回るのは止め、新郎新婦のテーブル横に場所を設け、写真の撮影が出来るようにした。司会者が写真撮影を呼びかけると、真っ先に冴木や七瀬が携帯を持ち写真を撮りに来る。
一通り写真撮影を終え、水城と美里は席に着いた。友人や同僚の歌や余興が始まり、会食が進む中、皆自由に楽しんでいた。
水城や美里の所に上層部や営業部、企画開発部の皆が「おめでとう!」と挨拶に来る。酒を注ぎに来る者、写真を一緒に撮りに来る者、話をしに来る者と様々で、水城も美里もそれぞれ訪れる方の相手をしていた。
もちろん、冴木や七瀬、奥菜や美羽、鷹取と杏は水城と美里のそばで2人の様子を見ている。水城は大倉先輩と時東に会場内が自由に人が動くようになったら、全体を見張っておいて欲しいと頼んでいる。
水城が次々に酒を勧められている時、美里の元にも受付や総務部の方達が酒を勧めにやって来る。少し注いでもらってはひとくちだけ飲み礼を言って、次々に挨拶をしていく。
「美里さん、大丈夫?」
美羽が美里の心配をし、声をかける。
「はい、大丈夫です」
「無理して飲まなくてもいいよ。注いでもらうだけにして…」
「いえ、せっかくお祝いで注いでくれているので、ひとくちくらいは頂かないと」
「そうだけど……もし酔った時は言ってね」
「はい。ありがとうございます」
美里は心配してくれる美羽に礼を言って、次の営業部の仲間の祝福を受ける。
「美里、おめでとう!」
「ありがとう!」
そう言って注いでくれたお酒をひとくち飲んで、グラスをテーブルに置く。次にやって来たのは七瀬が研修している喜多嶋だ。手にはワインボトルを持っている。
「白石先輩、おめでとうございます!」
「ありがとう!」
「あ、グラスないんですね」
喜多嶋がテーブルを見回し、近くにあった空いたグラスを手に取り美里に差し出す。
「どうぞ…」
美里はグラスを受け取り、そのグラスに喜多嶋が持って来たワインを注ぐ。
「あ、赤ワインなんだ。頂きます」
美里は喜多嶋が注いでくれた赤ワインをゴクッゴクッと飲んだ。赤ワインは美里の大好物だ。
「赤ワイン、好きなんですよね」
「そう、何で知って……っ!」
美里は喜多嶋に尋ねるが口の中や喉に痛みを感じ、とっさに口と喉を押える。喜多嶋はニヤリと笑い言った。
「聞いたんですよ、色々と。あなたの事なら何でも…」
喜多嶋がそう言った瞬間、美里は押えていた口から血が混じった赤ワインを吐き出した。ドレスに吐き出したものがかかる。
「美里さん! あなた何を飲ませたの! ?」
そばにいた美羽が慌てて喜多嶋に尋ねる。
「えっ……ちょ、ちょっと、眠っててもらおうかと…思って……えっ、なんで…?」
「っ! うっ……うっ…」
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