19.3割から5割増しらしい

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 いっぱい、という紬希らしい表現にも幸せだと言ってくれるその気持ちも、一生懸命な様子にも貴堂が感じるのは愛おしさだ。  奥を突かれるのはまだ苦しいだろうとは思うが、貴堂にはそれをこらえることは出来なかった。  激しい動きの中で優しく繰り返されるキスに、ただただ翻弄されながらも紬希は必死に貴堂につかまる。 「紬希、紬希……」  耳元で切羽詰まったように何度となく名前を呼ばれるとそれだけでここにいます、と言いたくなる。 「せ……いちろ、さん……」  紬希はぎゅうっと貴堂に抱き着いた。  強く打ちつけられた腰がさらに奥に押し付けられて、紬希は思わず悲鳴にも似た大きな声がもれてしまった。  そうして貴堂にぎゅうっと抱きしめられその耳には大きな吐息が聞こえる。 「ごめ……、初めてなのに無茶させたな」  切羽詰まっていたり、こんな風に汗をかいていたり、そんな貴堂の姿は今まで見たことがなくて、紬希は胸がきゅうんとしたのだ。  そして、そんな時ですら紬希に気を遣ってくれる貴堂を心の底から大好きだと思う。 「誠一郎さん、大好き」  紬希はそう言って両腕を貴堂の首の後ろに回してきゅっと抱き着いたのだった。  ふっと笑って髪をかき上げた貴堂は紬希をそうっと抱き返して、ぽんぽん、と背中をたたき優しいキスをしてくれた。
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