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「いつか一緒に行こう」
紬希の負担にはならないように軽く言う貴堂にこくり、と紬希は頷いた。
続いて近海の魚の水槽へと進んでいく。
沢山のキラキラ光るイワシが泳いでいる大きな水槽だ。
紬希はその水槽の大きさや魚の身体が光を反射してキラキラ光る様子に圧倒され、つい足を止めてしまったのだが、ふと横を見ると、貴堂も熱心に水槽を見ていることに気づいた。
「綺麗ですね?」
「あ……うん、綺麗だな。そうなんだけど、実は水の中の魚の動きは飛行機の動きにも共通しているものがあって」
「え? お魚がですか?」
「そう。魚がというより飛行機が、って感じかな。飛行機が空を進むのは空気の流れが非常に重要なんだ。それは流体の中を進むことと、とても似ている。この水槽で言うと水流になるね」
その時、水槽の中の水流が変わったようで、魚が一斉に向きを変えた。
「飛行機の揺れは風によって引き起こされるんだ。例えばあの魚の団体、少ししたら身体が揺らぐよ? 見ていて」
貴堂が指差した方を見ていたら、確かにふわんと小魚の団体が上下に揺れた。
「本当だわ! どうして分かったんですか?」
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