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眉を寄せる紬希が可愛らしすぎる。
「大丈夫。そんなことはないから。彼らは慣れているから」
その時、水中で加速したイルカがポーンと水面に飛び出てジャンプしボールをポンと揺らす。
そのジャンプにはまだまだ余力がありそうだ。
「全然……大丈夫そうでした」
「きっと安全には配慮してやっているんじゃないかな」
そしてイルカが着水した時に、大きく水が跳ねたのだ。前の方の客席にまで少し水は飛んでいて客席からはわあっ!と声が上がっていた。
「あ、それで上の席なんですね」
「そう。前の方の席になんて座っていたら大変なことになる」
音楽に合わせてイルカが何度もジャンプしたり、何頭かで交差する動きを見せたりするのに、二人ではしゃいだり拍手したりして楽しんだのだった。
「はー、カッコよかったですねぇ、イルカのくーちゃん」
「え? 可愛いじゃなくて? カッコいいの?」
「カッコよかったですよ! 最初は可愛いらしいなって思いましたけど、あんなジャンプしたり、賢いし、カッコよかったです」
「僕はまだ紬希にカッコいいところを見てもらってない。機会があったら是非見てほしいんだけど」
「え……」
イルカのカッコ良さを語っていて、なぜそんな流れになるのか紬希には理解出来なかったけれど、貴堂が首を傾げるのに紬希は貴堂の服の袖をそっと掴んだ。
「ん?」
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