11.海を飛ぶペンギン

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「ごめん。主語がなかった僕のせいだな。今日のお出かけが大丈夫だったか確認したかったんだけれど、紬希、今の感想はキスの感想?」 ──は、恥ずかしいっ! 「びっくりして、ドキドキしたけれど怖くはなかった? せっかくだからもう一つ聞いていい?」  紬希にしてみたらそんな感想を伝えるはずではなくて、聞かれたから答えたのにそれが盛大な勘違いだったと分かって、顔から火が出そうなのに目の前の貴堂は妙に楽しそうなのだ。 「なんですか?」 (すごく、すごく優しい人のはずなのに貴堂さんがいじわるしてる気がする)  恥ずかしくて泣きそうなのに、あまりにも貴堂が幸せそうに笑うから、泣くのは違う気がする紬希だ。 「怖くなかったのなら、もう一度してもいいかな?」  その返事を聞かずに、貴堂は紬希のそれに軽く自分の唇を重ねた。  驚いた紬希はやっとのことで声を出す。 「もう……顔から火が出そう……」 「大丈夫。出てないよ」  ポンポン、とあやすように頭を撫でられて紬希は顔を俯かせた。  好きな人が幸せなのは自分も幸せなのではないだろうか?  だから、こういうのもいいのかな……?
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