12.最終判断と紙飛行機

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「紬希は僕を幸せにする名人だよね」  貴堂の家は空港から車で20分くらいのベイサイドにある高層マンションだった。  散らかっているけれどもと上げてくれた部屋は綺麗に片付いている。  周りにはいくつものマンションが建っているけれど、貴堂の部屋は窓が海の方を向いていて、周りに建物がない分とても景色が良かった。  湾になっている海が見え、海の向こうのビル群に明かりがたくさんついているのが見えて、キラキラと星のように光っているのがとても綺麗だ。  そして、その間を横切るように飛行機が飛んでいるのも見える。 「ここからも飛行機が見えるんですね」 おそらくは空港が近いのだ。 「通勤に便利だからここを買ったんだけれど、思いのほかいい場所だった」  広めのベランダには白いデッキチェアが置いてあった。 「お外に椅子があるんですね」 「うん。夜景とか、飛行機とか見ながら翌日もオフの時はそこでぼうっとして飲んだりするから。なかなか気分いいよ」 「素敵ですね」  おいで、とベランダへの大きな窓を貴堂は紬希に開けて見せた。その椅子に紬希を座らせる。  空と夜景とが視界いっぱいに広がって、それは飽きることのない景色だった。 「綺麗……」  しかし、段々外気温は下がってきている。  紬希が気に入ったのならいつまでも見せてあげたいような気がするが、風邪をひかれても困るので、貴堂は紬希の肩をそっと抱いた。
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