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祈るように、けれどとても強く紬希はそう思った。
部屋の端まで歩いて行って、無事着陸した紙飛行機を拾った貴堂は紬希の頭をポンポンと撫でた。
「食事にしようか」
気付いたら、ダイニングテーブルには豪華な食事がセッティングされていた。白いお皿に綺麗に調理された料理が並べられている。
「では、今日はこちらで失礼いたします。あとはお願いしますね」
「ありがとう」
貴堂がそう言うと、料理人の彼はにこりと紬希にも笑顔を向けて帰っていった。
「すごいわ……」
「彼はケータリングを専門にしているシェフなんだ。こうして来てその場で調理してくれることもあるし、依頼すれば作り置きの料理もしてくれたりする。興味があれば今度紹介するよ」
「どうやって集客していらっしゃるのかしら?」
「うーん。僕が頼むときは直接電話したり、事前に分かっていれば彼のサイトから予約をしているな」
本当にこんなことを言ってくるとは思わなかったという紬希の反応が、毎回貴堂には面白い。
普通なら『家でお料理してくれるのすごーい!』とかいう場面である。
集客、という反応が返ってくるとは思わないではないか。
「そうか。考えてみたら紬希もフリーで仕事を受けているから……」
「お兄ちゃんが面白がりそうです。兄はウェブデザインをお仕事にしているから」
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