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大きなガラス張りのドアが開くと、そこが空港デッキだ。
紬希は端の方の人目につかないベンチに座る。
綺麗に整列した飛行機が順々に着陸していくのを見るともなく見ていた。
──とってもお行儀がいいわ……。
ちょうど着陸の重なっている時間帯なのか、次々降りてくる飛行機のどれが貴堂のものなのか、紬希には区別はつかない。
そんな様子を飽きるともなく見ていた紬希の頭の上にポン、と手が乗せられる。
そんなことをするのはたった一人しかいない。
「紬希? ただいま」
紬希の大好きな低くて甘いよく通る声だ。
「貴堂さん! お帰りなさい」
椅子に座っている紬希の横に貴堂は座った。
先程上海からの便で到着したところだ。
到着が日中だったので、デッキで紬希と待ち合わせしたのだ。
「面白い?」
「はい。とてもお行儀よく並んで到着するので、すごいなぁっていつも思います」
「お行儀良いのは僕らだよ。パイロットって偉いとか思われがちだけど、実際は管制官に言われるがままなんだ。上がって、下がって、進入角度はこれで……って」
眉を寄せる貴堂にくすくすと笑う紬希だ。
「けど、彼らがいてくれるお蔭であんな風にお行儀よく並んで着陸することができるんだから、感謝だよ。飛行機は絶対に一人では飛ばせないんだ」
「私も布を見て思うことがあります。ここに来るまでに何人の人の手を経て来たのかなって。そう思うと、大事に使うねって」
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