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「可愛くて、綺麗で控えめで一緒にいても誇らしいくらいの人だ。会社の先輩の話は聞いたけれど……」
「それも聞いたんですね」
雪真が思っていたよりももっと紬希は貴堂に心を開いていたようで雪真は驚いた。
そうして空を横切っていく飛行機を目で追う。
「もっと小さい頃は人懐こくて可愛かったです。僕は帰国子女だったので学校の友人とペースが合わなくて、当時苦労していたんですが、それを仲良くしてくれたのが三嶋透でした」
一緒に空を見ながら、貴堂は相槌を打つ。
「うん」
「紬希はよくそこに遊びに来てた。僕はとても目立つんです」
「そうだな」
綺麗に真っ白な肌と、王子様のように整った風貌、少し色素の薄い瞳と優美な顔立ちは相当に確かに目立つだろうと貴堂は頷く。
「僕と仲の良かった紬希は同級生からいじめられた。もともと綺麗な子で優しくて男子生徒にも人気があったんです」
「妬みか……」
「完全な妬みだったと思いますよ。紬希にしてみれば根拠なく、つらく当たられたんだ。なぜ?と思っただろうし、自分が悪いんじゃないかと悩んだことでしょう」
以前から貴堂は紬希の自己否定が根深いことは感じていた。
「子供の頃?」
「そうですね。小学校の高学年くらいの時期でしょうか」
「そんな子供の頃に……」
貴堂は軽く目元を抑える。
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