14.ゴーアラウンド

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 なのに、頑なに自分が悪いのかもしれない、と思い込んでいたのは……。 ──私だわ。  それを溶かして前向きにさせてくれたのは貴堂だ。  頑なだった紬希に何度も何度も『君はすごい』『尊敬している』『誇らしい』と伝え続けてくれた。  紬希ですら、素敵なのだと明らかに分かる人に、何度も伝え続けられたのだ。  その敬意も愛情も、信頼も覚悟も、全部全部紬希には伝わっていた。  気付いたら紬希の頬をたくさんの涙が流れていた。 ──貴堂さんはずっと、ずっと伝え続けてくれていたのに……っ。  信頼するだけの勇気を持てなかったのは紬希の方なのだ。 (私は信じます。私を信じてくれる貴堂さんを信じる)  その時だ。携帯に着信があった。 ──え?雪ちゃん? 「はい」 『紬希、すぐに空港に来れるか?』  珍しく切羽詰まった声だ。  紬希は胸騒ぎがした。
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