15.待機終了10分前に電話は鳴るものである

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 あらかじめ入力されている運行データを操縦士がブリーフィングしながら確認する仕組みだ。  二人で天候や高度、重量、燃料などについて打ち合わせしていく。 「僕、パースは初めてなので、今回は見させていただいてもいいですか?」  立花は貴堂にそう声を掛ける。  積極的な姿勢は好まれるところなのだ。だから貴堂も笑顔で答えた。 「ああ、初めてなんだ。もちろんいいよ。では離陸はやる?」 「はい。是非お願いします」  副操縦士も実際に操縦しなければ育たない。  貴堂もそうやって育ててもらったので、可能な状況で立花に操縦してもらうことは当然のことだ。  パソコンを使って画面上で確認しながら打ち合わせをして、その場で必要な情報をプリントし、立花がそれを手にした。  エレベーターを降り、JSAビルを出る。  二人は今日乗る機体に向かった。  今日は離陸は立花が担当するので、立花がコックピットの準備をして、貴堂は外へ機体の点検に出る。  てくてくと歩いて、機体に大きな傷はないかとかセンサー類に異常はないか、とかタイヤやブレーキまで目で確認するのだ。  特にエンジンは重要なので、しっかり確認して視認する。特に問題は発見出来なかったので、書類にサインをし、コックピットに戻った。  その後も特に大きな問題はなく、機体はタキシングを開始する。
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