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「JS air 371 MAYDAY engine fire request left turn .(緊急事態、エンジン火災です。左旋回させてください)緊急事態のため今後の交信を日本語でお願いしたい」
『了解JS air 371、今後日本語で交信します。左旋回了解、方位80度』
「左旋回、方位80度」
「30秒経過、火は消えていません」
立花の声に二本目の消化剤を貴堂は使用する。
「Second bottle discharge」
「了解」
「とにかく引き返そう」
『JS air 371 いつでも9000フィートに降りてください』
「9000フィート降下、了解です。貴堂さん鎮火しました!」
「よし、チェックリストだ」
飛行機は、たとえエンジンが片方止まっても墜落することはない。しかし火災が発生している以上、本来は乗客の安全を確保するためなるべく早く着陸したいところだ。
「はい。チェックリスト、コンプリートです」
火は消えた。機体は安定している。
後は着陸するだけなのだが、問題が一つあった。
「着陸するには燃料が多すぎるな」
「はい。投棄しますか?」
パースまでの飛行時間10時間分の燃料を搭載し、まだ離陸したばかりだ。機体はかなりの燃料を積んだままの状態になっている。
着陸するには重量オーバーでこのまま着陸すると車輪や機体の他の部分が破損する可能性があり、そうなれば二次災害である。
それは防がなくてはいけない。
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