16.『推し』ですっ!

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「ありがとうはこちらだよ。君たちの日頃の訓練と落ち着きのお陰で操縦に集中できたんだ」  キャビンで何かあったら、貴堂は責任者として対応しなくてはいけなかった。  けれど、優秀なチームのお陰でそれは回避されたのだ。 「無事、着陸出来たのは君たちのお陰でもある。お礼を言うのはこちらだよ。ありがとう」  貴堂キャプテンー……と目がうるうるしている乗務員もいた。 「さ、報告もあるから戻りましょう。もうひと仕事よ!」  真木の言葉にはい!と返事が上がった。  乗務員の後に貴堂が通路を出ると、そこに一際目を引く二人がいる。  どちらも整った顔立ちの二人。  紬希と雪真だった。  まさかこんなところに紬希がいるとも思わず、さすがの貴堂も立ち止まって動きを止める。 「貴堂さん……っ」  澄んだ声が貴堂の耳に届いた。  思わず、といった感じで紬希が貴堂に駆け寄ろうとするのをガードしていた社員が止めようとした。 「いいんだ」  そう言ってその社員の肩に貴堂が手を乗せる。 「紬希……」  貴堂も紬希に歩み寄り、きゅうっとその身体を抱き締める。紬希もその身体にぎゅううっと抱きついた。 「お、おかえりなさい……」 「ただいま、紬希」 「私、ずっと見てました」 「うん」 「でもちゃんと、信じてましたからっ……」 「うん」 『信頼関係が安心感を強め、心の共鳴や理解を促進し、関係性が強固になる』
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