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「ありがとうはこちらだよ。君たちの日頃の訓練と落ち着きのお陰で操縦に集中できたんだ」
キャビンで何かあったら、貴堂は責任者として対応しなくてはいけなかった。
けれど、優秀なチームのお陰でそれは回避されたのだ。
「無事、着陸出来たのは君たちのお陰でもある。お礼を言うのはこちらだよ。ありがとう」
貴堂キャプテンー……と目がうるうるしている乗務員もいた。
「さ、報告もあるから戻りましょう。もうひと仕事よ!」
真木の言葉にはい!と返事が上がった。
乗務員の後に貴堂が通路を出ると、そこに一際目を引く二人がいる。
どちらも整った顔立ちの二人。
紬希と雪真だった。
まさかこんなところに紬希がいるとも思わず、さすがの貴堂も立ち止まって動きを止める。
「貴堂さん……っ」
澄んだ声が貴堂の耳に届いた。
思わず、といった感じで紬希が貴堂に駆け寄ろうとするのをガードしていた社員が止めようとした。
「いいんだ」
そう言ってその社員の肩に貴堂が手を乗せる。
「紬希……」
貴堂も紬希に歩み寄り、きゅうっとその身体を抱き締める。紬希もその身体にぎゅううっと抱きついた。
「お、おかえりなさい……」
「ただいま、紬希」
「私、ずっと見てました」
「うん」
「でもちゃんと、信じてましたからっ……」
「うん」
『信頼関係が安心感を強め、心の共鳴や理解を促進し、関係性が強固になる』
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