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え?こっちがしたいんだけどその表情。
「真木さん、推しですよ! 推し!」
「好きなんじゃないの?」
「もちろん好きですよー! けど推しというのはもっとそれ以上の尊さとか美しさとか、高揚感とか……好きだけでは言い表せない熱い想いがそこにあるんです!」
高揚感分かる―!とお若い女性たちは盛り上がっている。
これがジェネレーションギャップってやつなの?
真木はあの状況でさえ頭は痛くならなかったけれど、この状況には頭痛がしそうだった。
一方、まさか自分が推されているとは知らない紬希は勢いに任せて貴堂の部屋に来てしまったけれど、一体どうしたらいいのか分からずに、部屋の中で戸惑っていた。
じっとしてたらいいのかな?
なんかご飯の準備とかした方がいい?
飲み物……は飲んでもいいよね?
ウロウロしたり、あまりじろじろ見るのも失礼な気がして、そっとリビングのソファに腰かけてみる。
そうしてみると、この前はゆっくり見ることは出来なかったけれど、シンプルな家財やモノトーンなカラーは男性の部屋らしい気がした。
その時ピンポンピンポン、とインターフォンが鳴って紬希はどきりとする。
──これって出ていいの?
ちらりと見たインターフォンの画像はこの前のケータリングの人だった。
「あ……の?」
「貴堂さんにお願いされているんですけど入っていいですか?」
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