17.育成教育

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 機長というのは機に責任を持って操縦するだけではない。一緒に乗務する副操縦士を育てることも業務のひとつなのだ。  部下の育成に関する教育も当然受けている。  その育成過程は4つあると言われていた。導入、提示、適用、確認、だ。 『導入』では心の準備をさせるものだと言われている。  いきなり本題に入って教育を行うと、本人は心の準備やなぜ教えられるのかなど、分からないまま始めることになる。  それは今後のためにも良くない。  今行っていることの重要性や意義、メリットなどを話し合い、本人が覚えたい、習いたい意欲を起こさせることから始めるものだ。  それは操縦でも同じである。まずはひと通りやってみせて、手順、勘やコツを理解させる。  次に『提示』だ。ここでは説明してやって見せる。  勘やコツを強く印象づけて、理解や納得するまで何度も繰り返すのだ。  そして『適用』である。  やらせながら習得させ、実際に身についたか確かめていく。  実体験としてやらせることは、業務を覚える上で非常に有効な方法で本人の自信にもなると言われている。  ここでは本人が習得していればできてしまうし、習得が未熟であればできないということが可視化される段階だ。
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