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紬希が一生懸命キスしている間も、貴堂は紬希の頬を撫でたり、顎に触れたり耳に触れたりするから、紬希はなかなか集中できないのだ。
「紬希、上手。集中して？」
そう言われて何度も重ねるうちにするりとつい、貴堂の唇を舐めてしまった。
ぴくっと身体を揺らした貴堂が紬希の舌を自分のと絡め合わせて気づいたら、紬希の舌は強く吸われていた。
始めは言っても紬希にはそんなキスなど出来ないだろうと、貴堂は少しだけ高を括っていたところもあったのだ。
ところが、紬希のキスは何度も重ねたあと、緩く吸って、それから唇をするりと舐める……それは、僕のキスだよね？
自分がしたキスを覚えていて、まさか全く同じように返してくるとは思わないではないか。
だから、つい貴堂は紬希を強く抱きしめて、その淡く触れてきた舌を深く受け入れて、自分の舌と絡めてしまいたくなったのだ。
「ん……っ」
思わず紬希の口から甘く零れる声。
とくんとくんという自分の心臓の音が、大きく紬希の耳元で聞こえるのだ。
胸もきゅうっとして貴堂につかまっていないと崩れそうだ。
いつの間にかしているというよりされていた。
お互いの口腔の中で混ざりあって、絡ませ合って、唇の粘膜が絡まると淫らな水音が聞こえる。しばらく二人は夢中でキスをしていた。
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